ボーカルの名前
うちのバンドには、ゲスト歌手も含め、メインボーカルが何人もいます。
彼女達は、まるでイタリア喜劇の道化役者のように、オペラ、ファド、シャンソン、アルゼンチンタンゴ、フラメンコなどを歌っていきます。
さて、そのメインボーカルの一人に「メルドのCo・テンコー」という女の子の歌い手がいます(Co・テンコーは、コ・テンコーと読むんですよ、皆さん)。
彼女は主に、可愛らしいフランス的なオリジナル曲(ニュイ・ミュゼット)を担当する事が多いのですが、
可愛らしいと言っても、何しろ皮肉とユーモアのラテン音楽「シャンソン・フュネライユ」ですから(笑)、可愛いながらも、毒を含んだエスプリ満載の歌詞を、彼女は歌っています。
さて、本日は、このコ・テンコーの名前について、お話してみたいと思います。
彼女の名前の前についている「メルド」という単語の意味について。
そもそも、この「メルド」というのは、一体、どういう意味なのでしょう?
響きがきれいなので、町の名前かと思う方もいるかもしれませんが、
そうではなくて、実は、メルドというのは、フランス語で「糞尿」を意味する単語なのです。
なぜ、名前の前に「糞尿」などという単語がつくのか?
それは、フランス的芸術表現に、「糞」という単語が意外に多く登場する事と関係があります。
フランス映画や、フランスの詩の中に
「ああ、くそったれで素晴らしい人生!!」などの皮肉とユーモアの込められた言葉が登場するのを聴いたことがある方はいないでしょうか?
フランスは、日本と違って、何かを賛美する時にも、素直に褒めたりするのではなく、そこに「愛すべき皮肉」というべきものを織り交ぜたりするのですね(素晴らしい!!)。
綺麗なもの、素晴らしいものだからこそ、「糞」という、最も汚い言葉をつける事が面白いのです。
なぜって、世の中、きれいなものは、ただ、綺麗なだけのものではないからです。
世の中の一つの物事は、そう単純じゃありません。
いろんな面が存在します。
綺麗な部分、汚い部分、裏の努力、表の成功。
それは人生とおんなじです。
でも、ただ綺麗なだけのものではないからこそ、奥が深く、素晴らしいものなのではないでしょうか?
人間だって、ただかっこいい、美人などというのは、所詮、うすっぺらい一面に過ぎません。
実はマヌケだったり、実は悪者だったり、そういった面がある事で、より人間味があふれてくる。
そして、だからこそ、面白いのです。
「くそったれで素晴らしき人生」という表現がユーモラスに響くのは、
たったこれだけの言葉で、面白い位に、この人間の世界を表現しているからではないでしょうか?
まさにそれは一つのエスプリ(フランス的ユーモア)なのです♪
そんなわけで、「メルドのCo・テンコー」という名前には、
「フランス的皮肉のCo・テンコー」という意味があったりします。
簡単に見えて、意外に深い意味があるでしょ?
それが、「ペス・デ・トゥンバ(墓の魚)」の得意とする文学的ユーモアです♪
言葉に隠された裏の裏を読んでいけるようになると、
言葉というものが、詩というものが、文学というものが、
より楽しく鑑賞できたりしますよね♪
というわけで、本日は「メルドのCo・テンコー」について書いてみました♪
「ペス・デ・トゥンバ(墓の魚)」公式サイト
http://www.h7.dion.ne.jp/~witch666/majorin/tumba.html