私の葬儀

さて、久しぶりに新曲を作りました。
「逆さまのミサ」という曲集のシリーズで、ジャンルはファドになります。


曲や詩って、できる時はあっという間にできるのねー(できない時は全くできないのに(笑)←だから、作曲を仕事にはできない(笑))

イワシの埋葬」もそうなのですが、私の詩は、クラリンという古いスペイン作家に影響を受けたモノがかなり多いです。







「私の葬儀」


参列者達が淡いカンデヤ*1を灯し、行列する
あの火は遠い港の明かりだ


港には、私の知らない人ばかりが住んでいる
だから、私の葬儀には見知らぬ人ばかりが参列する


私は、もう、うんざりするほど葬儀をくり返してきたのだ
通夜のような顔で
悲愴という名の税を払い続けながら


人生とは葬儀なのだから
欲望の、見栄の、偽りの・・・
それらを埋葬する事ができたら
ようやく片方の玄関を開け放てるのだ*2


私の事を何も知らない人達が
泣き、花びらを落としてくれる
私の知らない私の生前を語っている


ふと、私は気づく
誰の事も知らなかったのだ!!
知らない者の為に泣き、知らない者の為に歌う
それが人生なのだ
この葬儀のように・・・


私の事を知っているのは、
欲望、見栄、偽りのみ
そして、それらを埋葬する事が葬儀なのだ
誰にも知られないように土の中に
掛け物を逆さまにして*3
それは神聖なる秘密の儀式なのだ


さて、今日も、続きは生きている者の為にくり返される
皆、欲望、見栄、偽りと杯を交わす
それが生きるという事なのだから・・・


人生とは葬儀なのだ
そして私は相変わらず税を払い続けている
キリストが払い損なった税金
悲愴という名の税を

今日のスペイン語 意味 説明
メンティー 偽り ***

*1:カンテラポルトガル読み

*2:喪主の家は片側の玄関を開けておくという風習がある

*3:ポルトガルでは、通夜の時には、家中の掛け物を逆さまにかけるという風習がある