ハチミツとクローバー
- 作者: 羽海野チカ
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2002/08/19
- メディア: ペーパーバック
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生きる哲学みたいなものを語りかけて来る作品ですが、
そうですねー、生きる意味って何なんでしょうね?
あはは。
「それが「恋愛」の人間もいれば、
好むと好まざるとに関わらず、
何か「やりとげねばならない」モノを持って生まれてしまった人間もいる」
そうなのかもしれません。
この作品に一貫して流れているテーマの一つは、才能のある人と、無い人。
同じ青春を扱った作品「スタンド・バイ・ミー」にも、実は同じテーマが流れているよね。
才能のある人と、無い人。
持っている人と、持っていない人。
抜け出せる人と、抜け出せない人。
誰もがどこにでも行けるわけじゃない。
誰もが幸せになれるわけじゃない。
でもねー、「才能」なんていうのは形のないものだからね。
私は、才能があるとか、無いとかよりも、
とことん何かに狂える人と、それができない人がいるだけなんだと思います。
やっぱり、周りが見えないくらいに何かに狂える人は、おかしいけれど、平穏や日常を代償に、何かを得るんだと思う。
でも、おかしいのよ?
それって、綺麗事じゃなくて、おかしいからできる。というだけの事。
それは画家も、詐欺師も、マタギも、学者もみんな同じ。
才能なんてのは、あるのかないのかなんて、誰もわからないでしょ。
また、わかっちゃ駄目でしょう。
だからただ、狂える人と、狂えない人がいるだけ。
狂えない人にとって、狂える人は、時にかっこ良く、羨ましく見えるのかもしれないけれど、それって、ただ、それだけの事なんだと思う。
世の中はおかしかったり、おかしくなかったりするのです。
そうしないと、バランスが悪いから。
あー、そう言えば、この「ハチミツとクローバー」は、「動物のお医者さん」と、いろいろな意味で対照的な作品だと思うのですよ。
ハチクロは美大。
お医者さんは獣医大。
どちらも大学の学生達を扱ったマンガなのに、内容は全然違う。
「ハチミツとクローバー」の学生達は、社会的だよね。
外(社会)に対して、自分達はどうするのか?という事で、いつも迷ったり、悩んだり。
対して「動物のお医者さん」の学生達は、ほとんどそういった描写はないんです。
マイペースというか、彼らには彼らだけの、世の中とは別な時間が流れている。動物との時間、大学での時間。
内側を見つめて生きている人達の話。
もちろん美大は貧乏学生が多くて、獣医学部の人達は金持ちだとか、そういうのもあるでしょうけれど(笑)
それでも、閉じられた世界で、閉じられた価値観に染まっていかないで、宇宙から世界を見つめる事ができるのなら、どんな環境の人達にも、もっといろんな生き方が選択していけると思うのよ。
「スタンド・バイ・ミー」は、それができなかった人達のお話。
そして、結局の所、その価値観の壁を越える事ができるのなら、人生は本当は、なんでもありなんだと思うのです。
本当は誰もが何処にでも行けるんだと思うのですよ。
それについて表現するのに、私の好きな言葉があります。
「お気に召すまま」。