なぜ、埋葬画なのか

私は、様々な魔女を描いてきた自分のイラストを「埋葬画」と呼んでいます。


「埋葬画」という名前になった理由はいろいろですが、
「死」を描くことで、「生」を表現するような作品が多いから、というのが一番の理由でしょうかね。


また、音楽でもそうなのですが、私は「葬儀」というものに、特殊な愛着というか、哲学を感じております。


それはつまり、
「どんな人生も、死ねばおんなじ土の中。
豊かな者も、貧しき者も、
幸福な者も、不幸な者も。」

という哲学です。


だって、そう考えると、なんて人生って面白い!!
そんなでもでもない、「世界の喜怒哀楽」
すなわち、コメディア(喜劇)を私は描いていきたいのです。


さてさて「埋葬画」というのは、
古めかしく感じるようなタッチの技法で作った作品を、私が総じてよんでいるものです。
まるで、中世ヨーロッパの装飾写本のように描いた作品ですね。


これらは、大きく分けて三つの種類があります。


一つは神学的なもの、
もう一つはカントリー調のもの、
そして近代フランス調のものです。








神学的な「埋葬画」というのは、
キリスト教に対するパロだったり、
あるいは、キリスト教的な視点から見た異教徒を描いたもので、
時代は中世ヨーロッパを描いたものが多いです。
古いキリスト教的な視点で描いているので、ヘビやムカデをはべらすような邪悪な魔女が多く描かれます。










カントリー調の「埋葬画」は、
時代は同じく中世ヨーロッパを描いているものが多いのですが、
テーマは大きく変わり、南フランスや、南イタリアなどの、「田舎の暮らし」に視点が置かれています。
その為、のどかで可愛らしいものが多くなります。












最後の近代フランス調の「埋葬画」は、やや特殊で、
時代も近代が描かれ、「フランス的女性ファッション」が主なテーマになっています。
その為、魔女ではあるのですが、あまりそのような描写は見受けられません。


強いて言うのなら、フランス的ユーモアエスプリ」を表現して、が背景に描かれる事が多いです。








ちなみに、牧歌的なカントリー調の私の作品などを観た方が、
私の神学的、つまり、「墓場より」な(笑)作品を観ると、
「同じ人が描いたとは思えない・・・」
とおっしゃられる事があります(笑)


でも、描いた本人は、そういった作品を、頭ではあまり分けていないんですよね(汗)


だって、墓場にある物も、
のどかな木の家の中にある物も、
実は同じものじゃないですか。

そう大差はないものなのです。


そう、つまりは、やっぱり「ヴァニタス」です。


人生には、影も光もある。
しかし、全ては虚しい。
虚栄である。
いずれ消え行くものである。
我々はあわれな役者だ。


でも、だからこそ私達は、あがき、この世を楽しむのだ。


ねぇ、


だってこの世は、
そんなもんじゃありませんか。





黒実 音子の「埋葬画」サイト
http://www.h7.dion.ne.jp/~witch666/majorin/