フランケンシュタイン

長雨が続き、別荘から外出できなかった男女5人が、ある晩、奇妙な提案をする。
「一人ずつ、怪談を書こうじゃないか」と。
その夜の発想より、一人の男は、最も古い吸血鬼小説とされている「吸血鬼」を執筆し、これが後の「吸血鬼カーミラ」や、「ドラキュラ」に影響を与えたと言われていますね。


そして、その夜に参加していたもう一人の女性が、かの「フランケンシュタイン」を執筆したわけです。


うーん、そういった事から考えると、「ドラキュラ伯爵」も、「フランケンシュタインの怪物」も、ある意味、親戚みたいなものかもねー。


ちなみに、フランケンシュタインとは、怪物の名前じゃなくて、作った博士の名前なのです。
怪物に名前は無いの。


そして、怪物は「フンガー」とかしか言わない奴と思われてますが(笑)
原作ではめちゃくちゃ頭が良くて、哲学的な奴です。
むしろフランケンシュタイン博士が馬鹿。


フランケンシュタイン博士って、学生だからさ。若いの。
未知への領域に足を踏み入れたい欲望でいっぱいなわけですよ。
その結果とか、そういう所までは全く考えない。
ただ、熱い情熱だけで、禁断の領域に手を出してしまうわけです。
学生運動の学生みたい。


でも、作りだされた怪物は言うのです。
「なぜ俺を作った? 愛もないのに。」
結果なんて何も考えていなかった博士は、実験の成功に怖じ気づいてしまって、怪物を二度と作らないと誓う(勝手な話だわ)。


でも、怪物は要求してくる。
俺と同じ女の怪物を作ってくれ。
そうしたら俺は、大人しくその女と暮らし、おまえの前から消える。と。


だけれど博士は、その要求を払いのけてしまう。
そんな危険な者をもう一人産み出すわけにはいかない。と。
結果、怒り狂った怪物によって、博士は愛する者をみんな殺されてしまうのです。

復讐に燃えた博士は、怪物を追って旅をします。
殺す為に。
そして、とうとう北極まで怪物を追いつめる。


でも、最後、北極を探検する船に拾われた博士は、そこで力つき、息絶えてしまうのですよ。


すると、そこに怪物が現れ、涙を流します。
「彼は結局、俺の気持ちを最後までわかってくれなかった。
好き勝手に産みだれた者の気持ちを。孤独を・・・。」


でもね、息絶える前に博士は、危険を犯してまで北極の未踏に冒険しようとする船長を止めるのですよ。
「人類には、足を踏み入れていけない場所があるのだ。
あなたは、今なら、まだ引き返せるはずだ。」と。


博士はさ、終止、探求心とか、倫理とか、正義とか、ルールとか、そういった事ばかりを考えていたわけですね。


でも、怪物がさ、訴えたかったのは、そうじゃなくて、さみしいだとか、愛が欲しいとか、そういう事だよね。


いるよね。
頭は良くても、馬鹿な奴って。


人はさ、結局の所、さみしいだとか、愛が欲しいとか、それだけなんだよ。
んな、未知の領域だとか、人類の発展だとか、正義だとか、理想論だとか、そんな事じゃ、お腹はいっぱいにはならないのよ?


そんな事がわからん奴は駄目なのです。


だからかつて、教会の連中は、魔女を理解しなかったわけですね。
理屈と正論ばかりグチグチこねてる教会には、
「寂しい」だとか、
「愛されたい」だとか、
「ちやほやされたい」だとか、
まっすぐで原始的な感情を隠さない魔女達が怖かったのでしょうね。


ダメ男どもめ(笑)




まっ、「フランケンシュタイン」って、
そんなお話です(笑)


フランケンシュタイン (創元推理文庫 (532‐1))

フランケンシュタイン (創元推理文庫 (532‐1))